「でもちゃんと許してもらえたんだろ?」


「えぇ、まあ。やっとのことで」


それと、実はバレてよかったと思ってる。


大切な親友に嘘をつくのって、すごく気が重かったんだよね。


ずっと心につっかえていたものが消え去ったおかげで、すっきりした気分でレッスンに集中できる。


あー、体が三キロくらい軽くなった気分。やっぱり嘘って体にも心にもよくないね。詐欺師って絶対、長生きできないと思う。


「真央ちゃんも渋々ながらレッスンを許可してくれたし、これからは正々堂々と先輩の家に通えます」


「じゃあこれからますます俺は、お前の保護者から睨まれるわけだな」


洗い終わった野菜をキッチンペーパーで拭きながら、先輩はやれやれといった具合に肩を落とした。


「見たかよ、あいつの仏頂面。俺はチビの味方なんだぞ? なにが気に入らなくてあんなにムスッとされなきゃならないんだか」


「人のこと言えませんよ? 仏頂面なら先輩だっていい勝負です」