期間限定『ウソ恋ごっこ』

「近藤君、邪魔しないで! この子、あたしのまつ毛を金属だって言ったのよ!?」


「そこまで言ってねえだろ。そんなのどうでもいいって。ほら、司が玄関でお前のこと待ってるぞ?」


近藤先輩の言う通り、伊勢谷先輩が生徒玄関の前で『みんなでなにを話しているんだろう?』って顔して首を傾げている。


それを見た折原先輩が、「あ、いけない」と言いながら慌てて駆けだした。


数メートル進んで急にピタリと立ち止まり、クルリと振り返る。


「佐伯さん、あたし謝ったからね? もうこれで貸し借りなしよ。料理対決が済むまでは、あなたとの因縁は棚上げにしておいてあげる」


そう言い捨て、また伊勢谷先輩に向って一直線に駆けていく。


羽が生えたような軽い足取りを見送りながら、近藤先輩がふうっと大きく息を吐いた。


その表情から、近藤先輩の日頃の苦労がしのばれる。ほんとお疲れ様です。