「素敵なお家ですねぇ！」


軒(のき)の大きく突き出た瓦屋根や、木目調の壁は和風だけど、大きな丸窓や四角い窓の幾何学(きかがく)的な組み合わせがスタイリッシュ。


和と洋の交じり具合がすんごくオシャレで、高級リゾート地の和風ペンションみたい。


「すごいなー。すごいなー」


興奮して声を上ずらせているあたしを見て、近藤先輩がニヤッと笑う。


「この程度で驚いてたら、司や折原の家を見たら腰抜かすぞ？」


「そんなにすごいんですか？」


「昔からの名士だからな。なにしろ戦後の混乱期に海外留学ができるほどの財力なんだから、たいしたもんだよ」


そういえば伊勢谷先輩のおじいさんは、留学先でおばあさんと出会って恋に落ちたんだっけ。


今の時代でも留学は大変なのに、ほんまもんのセレブだな。映画みたいな話だね。