期間限定『ウソ恋ごっこ』

「せ、先輩。そんなことしなくてもいいですよ」


「いや、打ち身は早く冷やした方がいい。先生が戻ってくるまでの応急処置だよ」


「大丈夫ですってば」


「大丈夫じゃない。いいからおとなしく手当てされていろ」


命令口調だけど、ぜんぜん押しつけがましくない。本当にあたしを心配してくれている気持ちが、ハンカチを通して伝わってきた。


濡れて冷たいはずなのに、不思議と温かく感じるのはたぶん、先輩の優しさがハンカチにこもっているからだ。


先輩って、やっぱりいい人だな……。


「痛いか?」


急に無口になったあたしを心配したのか、先輩が顔を覗き込むように聞いてきた。


なんとなくドギマギして「い、いいえ」と答えると、先輩は少しすまなそうな顔をした。


「痛くないはずがないよな。でも、できれば折原のことをあまり悪く思わないでやってくれ……って、さすがにそれは無理な話だよなぁ」


自分で自分の言葉に苦笑いしている先輩に、不思議に思って聞いてみた。


「近藤先輩って、なんでそんなに折原先輩のことを庇うんですか?」