期間限定『ウソ恋ごっこ』

「美空、すぐに保健室に行こう」


「そうだな。すぐに行った方がいい」


あたしの肘を掴もうとした近藤先輩の手を、真央ちゃんの手がパシッと払った。


「保健室にはあたしが付き添いますから先輩は結構です」


お世辞にも礼儀正しいとは言えないその態度に、内心慌てるこっちの気も知らず、真央ちゃんは露骨にトゲトゲしい声を出す。


「助けていただいてどーもありがとうございました。遠藤先輩」


「……俺は近藤だ」


「あら、ごめんなさい。関わりたくない人の名前なんて、なかなか覚えられなくて」


ニコッと笑いながら、ブスッと太いトゲを刺す。顔がきれいな分、真央ちゃんの口撃の威力は絶大だ。


ハラハラしているあたしの目の前で、真央ちゃんはさらにブスブスと刺しまくる。


「もう心配いらないので、あなたはさっさと教室に戻ってください。進藤先輩」


「だから、俺は近藤だ」


「そしてもう二度と美空に近づかないでくださいね。田中先輩」


「だれが田中だ! さすがにそれは無理がありすぎるだろうが!」