期間限定『ウソ恋ごっこ』

するとあたしの頭上を、なにかがすごいスピードで折原先輩へ向かって一直線に飛んで行く。


カーンと高い音を立てて、その物体が折原先輩の後頭部にクリーンヒット!


「きゃっ!? 痛あぁい!」


折原先輩が悲鳴を上げて、後頭部に手を当てながら勢いよく振り返り、あたしをギロリと睨んだ。


「なにすんのよ!」


いや、あたしはなんにもしてません!


焦って首をブンブン横に振って無実を主張していたら、背後から真央ちゃんの声がした。


「あらやだあ、ごめんなさい~。大丈夫ですかぁ~?」


見れば真央ちゃんが、投球後のピッチャーみたいに右手首をプラプラ揺らしながら、薄笑いを浮かべている。


「美空の缶ケースを拾った手が滑っちゃったんですぅ。本当に本当に、わざとじゃないんですぅ~」