期間限定『ウソ恋ごっこ』

「それはそうと美空。時間は大丈夫? 今日はスクールバスで帰るんじゃないの?」


「あ!」


真央ちゃんに言われて、あたしは弾かれたように黒板の上の壁掛け時計を見た。


しまった。そういや今朝は自転車のタイヤがパンクしてて、お母さんに車で送ってもらったんだっけ。


帰りは迎えに来られないから、スクールバスで帰って来なさいって言われてたんだった。


うわ、話に夢中で忘れてた。バスの発車時刻まであと10分もない!


「真央ちゃん、あたし帰る! おしゃべりに付き合ってくれてありがとう!」


「はいはい。急げ急げー。また明日ね」


「うん! バイバイ!」


挨拶もそこそこに、学校指定のバッグを肩に下げながら教室を飛び出して、あたしは廊下を走り出した。


廊下は、いかにも私立高校の制服らしいおしゃれな紺色ブレザー姿の生徒たちでいっぱい。


行き交う生徒たちにぶつからないよう、あたしは細心の注意を払いながら必死に走った。


白鳥学園はすごく校舎が大きくて、その分いろんな設備が整ってるのがセールスポイントなんだけど、急いでるときはこの広さがアダになる。


間に合うか⁉︎ 間に合わないか⁉︎


いや、絶対に間に合わせてみせるとも!


だって自宅まで歩いて帰ったら1時間くらいかかるんだもんー! あの道のりを荷物抱えながら歩くのは嫌だ。