君への愛は嘘で紡ぐ

「似合っていますか……?」


服が可愛いことはわかるが、それが私に似合っているかは自分で判断できない。


「めちゃくちゃ似合ってる」


瑞希さんは親指を立てている。


「私、この服買います」


聞いておいてなんだが、本当に私に似合っているかは、どうでもよかった。
二人が私に服を選んでくれたという事実が大切なのだ。


「え、でもその服……」


由実さんが動揺するのも無理ない。
この服は、一万近くする。


それでも、欲しいと思ったのだから仕方ない。


「今日のために多めにお小遣いをもらったので、大丈夫です」


由実さんはそれでも心配してくれていたけど、瑞希さんはしっかり笑っている。


「えんの親、厳しいのか甘いのかわかんないね」


それに関しては笑って誤魔化し、自分の服に着替える。
そして着替えたばかりの商品を持って、レジに行く。


私が会計をしている間、二人はアクセサリーを見ていた。


「このネックレス、超可愛い」
「プレゼントしましょうか?」


瑞希さんの背後から、瑞希さんが選んでいるネックレスを見る。
銀色のチェーンで、小さなチャームが付いている。


「……あのね、えん。いくら多めにもらったとしても、お金の使い方は考えないとダメ」