手術室に向かおうとしたが、私のことを知っている看護師に、病室に戻ったと教えられた。
玲生さんの病室には、担当医の中條先生と二人の看護師がいた。
出入り口からでも、玲生さんがベッドに横になっているのが見える。
普段なら寝ているのだと思って入るが、希実さんに事情を聞いた今、そんなふうには思えない。
足が動かなくなり、言葉も出ない。
「円香ちゃん」
私に気付いた希実さんが、私を部屋の中に引っ張っていく。
玲生さんが息をしていることが、近くに来てわかる。
「すぐに手術をしようとしたのですが、我々が思っていた以上に病状の進行が早く……」
中條先生は悔しそうな顔をして語尾を濁した。
それは、玲生さんの病気を治すことが出来なかったと言っているようなものだ。
「ま、どか……?」
玲生さんの目が少し動く。
口の動きも小さく、それを見るだけで涙が溢れそうになる。
玲生さんの口角がゆっくりと上がる。
「来て、くれたんだ」
「希実さんに、教えてもらったので」
玲生さんは天井を見つめ、もう一度私を見た。
「……お嬢様」
玲生さんは弱った声で、でも確かに私をお嬢様と呼んだ。
急に距離が開いたようで、返事をするのを忘れた。
玲生さんの病室には、担当医の中條先生と二人の看護師がいた。
出入り口からでも、玲生さんがベッドに横になっているのが見える。
普段なら寝ているのだと思って入るが、希実さんに事情を聞いた今、そんなふうには思えない。
足が動かなくなり、言葉も出ない。
「円香ちゃん」
私に気付いた希実さんが、私を部屋の中に引っ張っていく。
玲生さんが息をしていることが、近くに来てわかる。
「すぐに手術をしようとしたのですが、我々が思っていた以上に病状の進行が早く……」
中條先生は悔しそうな顔をして語尾を濁した。
それは、玲生さんの病気を治すことが出来なかったと言っているようなものだ。
「ま、どか……?」
玲生さんの目が少し動く。
口の動きも小さく、それを見るだけで涙が溢れそうになる。
玲生さんの口角がゆっくりと上がる。
「来て、くれたんだ」
「希実さんに、教えてもらったので」
玲生さんは天井を見つめ、もう一度私を見た。
「……お嬢様」
玲生さんは弱った声で、でも確かに私をお嬢様と呼んだ。
急に距離が開いたようで、返事をするのを忘れた。