君への愛は嘘で紡ぐ

「俺が退院したら、一緒に住もう」


嬉しさのあまり、一瞬言葉を忘れた。


「どこか一部屋を借りる余裕なんてないから、俺の家か円香の家、どっちかに住むことになるだろうけど……どう?」


私は何度も頷く。


「頷きすぎ」


玲生さんは笑っているが、それ以外どう喜びを表現すればいいのかわからなかった。


「いいね、楽しみがどんどん増えてく」


玲生さんがそう言って笑うことが、今の幸せだ。
叶うなら、この幸せな時間がずっと続いてほしいものだ。


「それで、俺の家か、円香の家。どっちがいい?」


一緒に暮らすなら、ということだろう。


少しずつお父様のことを知り始めているから、ここで離れて暮らすことはあまりしたくない。


だけど、あの家には私たちのことを反対している柳がいる。
玲生さんをあの環境で生活させることはできない。


「……玲生さんの家にしましょう」
「俺の家ね。狭いって文句言うなよ?」
「言いませんよ」


少しムキになって返すと、玲生さんは私に疑いの目を向けて笑った。


「何の話をしてるの?」


希実さんが病室に入りながら質問してきた。


「俺の家で一緒に住みたいねって話してたんだ」


玲生さんが答えると、希実さんは目を輝かせた。