君への愛は嘘で紡ぐ

玲生さんが嘘をついているようには見えなくて、さらに嬉しくなる。


「次も期待してる」
「そんな、やめてください」


私がすぐに言うと、玲生さんは笑った。


「でも本当、初めてでこの出来だったら、期待するって。結婚してからの楽しみが増えた」


最近の玲生さんは、よく未来の話をしてくれる。
それを聞くだけでも、私は幸せな気持ちになる。


「円香は俺としたいこととかないの?」
「私ですか?」


考えてみるが、特に思い浮かばない。


「私は、玲生さんといることができるだけで十分です」


玲生さんは目を見開いたが、すぐに顔を顰めた。


「それはわかってんだよ。ほか、ないの?」
「えっと……」


玲生さんといるだけでいいと思っているのは本心で、玲生さんがやりたいと思うことを叶えたい気持ちもある。


「……玲生さんのやりたいことが、私のやりたいこと、です」
「円香は無欲だなあ」


野菜炒めを食べ終えた玲生さんは、弁当箱に蓋をする。


「俺は円香とやりたいこと、いっぱいあるよ」
「例えば……?」


空になった弁当箱を受け取りながら尋ねる。
玲生さんは人差し指を立てた。


「まずは結婚式。円香のウエディングドレス姿が見たい」