黙って歩いていたら、心臓の音に集中してしまいそうで、何か話さなければと思った。
「今日は野菜炒めを作ってきました」
声をかけると、歩くことに一生懸命だった玲生さんは立ち止まった。
疲れが吹き飛んだように、顔が晴れる。
「やっと円香の手料理が食べられるんだな」
「あまり期待はしないでくださいね」
しかし玲生さんの耳にそれは届いていないようだった。
ベッドに座ると、玲生さんは子供がご褒美をねだるような目をして見上げてきた。
お弁当箱と箸を保冷バッグから取り出し、ベッドに備え付けられている机の上に置いてから椅子に座った。
玲生さんは両手を合わせる。
「いただきます」
蓋を開けた玲生さんは、目を輝かせている。
「美味しそう」
「本当に、初めて作ったので、自信はないですからね?」
玲生さんははいはい、と私の言葉を適当に流し、箸箱から箸を取り出した。
野菜炒めを一口、口に運ぶ。
「どう、ですか……?」
恐る恐る感想を尋ねてみると、玲生さんは笑顔で答えた。
その満足そうな顔で、私はひどく安心した。
「よかった……」
それは思わず口から出てしまい、玲生さんは笑っている。
「いや、普通に美味しいよ」
「今日は野菜炒めを作ってきました」
声をかけると、歩くことに一生懸命だった玲生さんは立ち止まった。
疲れが吹き飛んだように、顔が晴れる。
「やっと円香の手料理が食べられるんだな」
「あまり期待はしないでくださいね」
しかし玲生さんの耳にそれは届いていないようだった。
ベッドに座ると、玲生さんは子供がご褒美をねだるような目をして見上げてきた。
お弁当箱と箸を保冷バッグから取り出し、ベッドに備え付けられている机の上に置いてから椅子に座った。
玲生さんは両手を合わせる。
「いただきます」
蓋を開けた玲生さんは、目を輝かせている。
「美味しそう」
「本当に、初めて作ったので、自信はないですからね?」
玲生さんははいはい、と私の言葉を適当に流し、箸箱から箸を取り出した。
野菜炒めを一口、口に運ぶ。
「どう、ですか……?」
恐る恐る感想を尋ねてみると、玲生さんは笑顔で答えた。
その満足そうな顔で、私はひどく安心した。
「よかった……」
それは思わず口から出てしまい、玲生さんは笑っている。
「いや、普通に美味しいよ」



