◇
奈子さんの旦那さんを送り出すと、奈子さんは私に似合う服をたくさんタンスから出した。
「お嬢様に見えないようにするなら、ボーイッシュな感じかな……」
奈子さんは手に取ったものを遠目で私に合わせては、床に置いていく。
いくつか試した中で納得のいく物があったらしい。
白シャツに黒いベスト、ダメージジーンズとシンプルだけど着たことない服だ。
それを渡され、着てみる。
奈子さんの部屋に全身鏡があり、その前に立たされる。
「悪くないですね。髪はキャップの中に入れて、誤魔化しましょう」
奈子さんは私の後ろに立ち、黒いキャップを私に被せた。
すると、奈子さんはくすくすと笑った。
「なんだか、懐かしいですね」
「……うん」
私たちは顔を合わせて笑った。
奈子さんの服を身にまとい、病院に向かった。
笠木さんの病室に着こうというときに、見覚えのある姿が部屋に入っていった。
私は慌てて曲がり角に身を隠す。
「なんで鈴原さんがここに……」
心臓の音がうるさくなる。
携帯の電源は切った。
変装をしているから、後をつけられている可能性は低いはずだ。
私を見つけようとしているのなら、直接来るしかないか。
奈子さんの旦那さんを送り出すと、奈子さんは私に似合う服をたくさんタンスから出した。
「お嬢様に見えないようにするなら、ボーイッシュな感じかな……」
奈子さんは手に取ったものを遠目で私に合わせては、床に置いていく。
いくつか試した中で納得のいく物があったらしい。
白シャツに黒いベスト、ダメージジーンズとシンプルだけど着たことない服だ。
それを渡され、着てみる。
奈子さんの部屋に全身鏡があり、その前に立たされる。
「悪くないですね。髪はキャップの中に入れて、誤魔化しましょう」
奈子さんは私の後ろに立ち、黒いキャップを私に被せた。
すると、奈子さんはくすくすと笑った。
「なんだか、懐かしいですね」
「……うん」
私たちは顔を合わせて笑った。
奈子さんの服を身にまとい、病院に向かった。
笠木さんの病室に着こうというときに、見覚えのある姿が部屋に入っていった。
私は慌てて曲がり角に身を隠す。
「なんで鈴原さんがここに……」
心臓の音がうるさくなる。
携帯の電源は切った。
変装をしているから、後をつけられている可能性は低いはずだ。
私を見つけようとしているのなら、直接来るしかないか。



