私がお嬢様でなくても、笠木さんは思いを押し殺しただろう。
笠木さんが病気であることは変わらないのだから。
笠木さんが私を突き放してしまえば、怖くて笠木さんに会いたくても会えないだろう。
奈子さんの言う通り、行動できないのを、自分の立場のせいにしている。
「笠木さんに会いに行ってもいいのかな……」
「もちろんです」
シチューが温まったのか、牛乳を入れている。
「でも、鈴原さんとお父様が、私のことを見張ってて……」
「お嬢様、それは言い訳ですよ。変装するなど、手段はあります」
また言い訳をしたことは認めるが、変装したくらいで騙されてくれるだろうか。
「……いや、ないか。旦那様も鈴原さんも、信じられないくらい過保護ですから、GPS機能を使ってる可能性もありますね」
そう言われて、鞄の中を漁り、スマホを出した。
遅いかもしれないが、電源を落とす。
「……奈子さん。明日、服貸してくれる?」
恐る恐る尋ねると、奈子さんは満面の笑みを見せた。
「はい」
奈子さんに厳しいことを言われ続けていたせいか、その笑顔を見て胸をなでおろした。
それから奈子さんと帰ってきた奈子さんの旦那さん、私の三人で食卓を囲んだ。
笠木さんが病気であることは変わらないのだから。
笠木さんが私を突き放してしまえば、怖くて笠木さんに会いたくても会えないだろう。
奈子さんの言う通り、行動できないのを、自分の立場のせいにしている。
「笠木さんに会いに行ってもいいのかな……」
「もちろんです」
シチューが温まったのか、牛乳を入れている。
「でも、鈴原さんとお父様が、私のことを見張ってて……」
「お嬢様、それは言い訳ですよ。変装するなど、手段はあります」
また言い訳をしたことは認めるが、変装したくらいで騙されてくれるだろうか。
「……いや、ないか。旦那様も鈴原さんも、信じられないくらい過保護ですから、GPS機能を使ってる可能性もありますね」
そう言われて、鞄の中を漁り、スマホを出した。
遅いかもしれないが、電源を落とす。
「……奈子さん。明日、服貸してくれる?」
恐る恐る尋ねると、奈子さんは満面の笑みを見せた。
「はい」
奈子さんに厳しいことを言われ続けていたせいか、その笑顔を見て胸をなでおろした。
それから奈子さんと帰ってきた奈子さんの旦那さん、私の三人で食卓を囲んだ。



