終着駅は愛する彼の腕の中


 数日後。

「ねぇお母さん。お兄元気なさすぎじゃない? 」

「うん。そうね」

「ふられたの? この前のお姉ちゃんに」

「さぁ、そうでもないみたいだけど」




 仕事から帰ってきた羽弥斗は、食事中何も話をしない。

 食欲も減っているようですぐに食べ終わってしまう。


 そして黙って食器をシンクに置いて、部屋に戻ってしまった。



「あれは相当重症だと思うけど」


 すみれと瑠貴亜は顔を見合わせた。



「ねぇお母さん。この前来ていたお兄の彼女って、もしかしてこの人? 」


 ひまわりは動画を見せた。


 それは晴天の公園で、赤ちゃんを抱いたきつい顔をした派手な女性と、ノエリと思われる女性が一緒にいるところ。

 女性はノエリに赤ちゃんを渡して、水筒から哺乳瓶にお湯を注いでいる。

 だが・・・ノエリにそっと背を向けて、哺乳瓶に何か入れた女性。

 ノエリは気づかないまま哺乳瓶を受け取り、赤ちゃんにミルクを飲ませた。

 直後、赤ちゃんは酷くむせ込み・・・


「これは・・・なんだんだ? ひまわり」

「あれ? 忘れたの? うーんと、確か小学校の時。携帯電話持って、友達と一緒に動画写していた時だよ。この動画が何故か知らないけど写ってて。友達に見せたら、一緒に警察に行こうって言われて。この動画、警察官にコピーさせて欲しいって言われたよ。その時、遅くなったからお母さん迎えに来てくれたじゃん」


「ええ、覚えているわよ。びっくりしたもん、いきなり警察から迎えに来て下さいって連絡が入って迎えに行ったもの」


「うーん、そう言われたらそうだったな。でもこの動画と、羽弥斗の彼女と何が関係あるんだ? 」


「この人、良ーく見て」


 北斗とすみれは動画をもう一度見た。


 赤ちゃんを抱いて驚いている女性。

 その女性はよく見るとノエリだった。

「あ・・・」

「この人・・・」

 瑠貴亜とすみれが驚いた目をした。