「なんだか怪我もしてるみたいで…」


そう言っておれの隣に屈んだ


「…っ!」


横顔だったけど鮮明に覚えてる

長いまつげがかかる大きな目

まるで吸い込まれるような瞳だった

白く透き通った肌の色に切なげに笑う口元が緩んでる


「まだ小さいのに…なんて、変な同情しちゃって…」


どきりとした

まるで俺のことを言われたような気がしたから


でもこいつが言ってるのはおそらく自分のことだ


なんだろう

俺と似たような境遇なのだろうか


「ってごめんなさい、めっちゃ喋ってた…

…って、ええ!?」


俺の顔をしっかりみたそいつが目を丸くした


あー俺のこと知ってたのかな

恐れて、謝るのかな


そんなことを思った時だった



「なんですか!?その怪我!?」


は?


「なんで私気がつかなかったんだろ!!大丈夫ですか!?いや、大丈夫じゃないですよね!ええ、っと、どうすればいいんですかこれ」




もしかして


「…心配してんの?」


「はあ!?何を馬鹿げたこと言ってるんですか!?心配せずに何しろと言うんですか!?痛いですか?いや、痛いに決まってるか!て、手当てしなきゃ!」


当然だというように俺を見るそいつ


なんで心配なんてするんだよ

知らない奴だろ?


でも

わちゃわちゃと慌てふためくそいつをみてるとなんだか全てがバカらしくなってきた