『ミャア』


路地の前を通りかかった時

そんな声が聞こえた


猫かな


自然とそっちに足が向かった


細い路地の奥の方

ダンボールに入れられた白い猫がいた

まだ幼い


『ミャア』


小さな体で弱々しいくせに鳴き声はでかかった


捨て…猫か


白い毛並みは泥やなんやで薄汚れていた


その後ろに飼い主が置いたのか、傘があった

ピンクのまだ新しい傘だ



同情でもしたんだろうか

俺なんかが同情してなんになるって話だけど


俺は猫の前で屈んだ


ん?


ダンボールの横にまだ新しい水の入った皿がある

よく見てみれば猫の入っているダンボールもしっかりしていて
中にはクッションまで敷き詰められている

猫の汚れに対してクッションは真新しい


誰かがやったのか?



その時だった