「悪」が似合わない君と。




「あ、また?」



クラスメイトの誰かの声




お昼休み前、鞄を片付ける私に視線があつまる




「ねぇ篠瀬さんまた早退?」



「この前もだったよね」



「羨まし」




こう何度も早退を繰り返すとさすがに怪しまれるな





「ねぇ」




ぎくり




いつもはただ見られるだけなのに今日は違う


1人のクラスメイトに声をかけられた




「はい」



「普通に気になってるんだけど、何でそうも早退すんの?」



仕事です



とは言えず




「家の用事です」




「…ふーん」




クラスメイトも知ってる人は知ってる



私の複雑な家事情




だからそれ以上聞かれることはなかったけど



さすがに怪しくなってくる頃だ




うーん



どうしたものか





いっそのことハナである事を言ってしまう事もできるけど流石に危険すぎる