「ああ…ごめん、気にしないで」
黙りこくっていた美花に声をかけた
「は、い」
唐突にしゃべらなくなってしまった美花
やっぱり気にするよな
「あの」
！
「なに？」
「そ、その、今の人は」
！
「あ、美咲？えっと、俺が結構荒れてた時につるんでたやつで…だから今は全然ほんと、関わりなんかないんだ」
「そ、そうですか…」
なんだ？
「あの人は…リュードさんのこと…彗って…呼ぶんですね」
………
は？
「いいな」
ボソッと言った
え、
気のせいだろうか
少し口先を尖らせて横目を向いている美花は
や、やきもちを…妬いていると
「美花？…もしかして、妬いた？」
「なっ！！いや、あの、別に、そんなんじゃ」
顔をかあああっと赤くして目を逸らした
なんだこれ…
なんだこれなんだこれ
か、可愛すぎる
やばいぞ
「悪いのはリュードーさんです」
小さな声でそんなことを言う
やばいニヤける
「美花」
「なんですか」
「彗って呼んでよ」
俺ももう限界みたいだ
ダサくってもいいや
名前で呼んでほしい
「……彗」
美花は少しためらった後、小さな声でそう言った
「うん…」
あああやばい
やめろその顔
赤くしてこっちを見るな
へんな気分になるから
「美花…かわいい」
「なっ、なに言ってるんですか！」
「ついでに敬語もなくせよ」
美花の頭に手を置いて笑った
「な、リュードさんのバカ、子供扱いしないでください」
な、敬語も苗字呼びもしやがった
「みーはーなー？」
「う、…け、彗」
「ふふ、そうして」
ああ、俺って結構重症だわ
名前呼ばれるだけでニヤニヤしてんだから
どこの純粋男子だよ…
あーあ
美花のせいだ
