「ふふ」
「何笑ってんだよ」
「いや、幸せだなーって」
「お前よくそれ言うよな」
「だって本当なんだもん」
「ふふ…はいはい。」
すっかり冬模様の夕方の街を歩く
「なあ、今日こっちからいかね?」
「ん?」
彼が指差した道は人通りの少ない路地の入り組んだ道
かつて私と彼が初めて会った場所
「いいよ」
細い路地に入っていく
薄暗いその場所はかつてのままそこにあった
「懐かしいな」
「うん。どしたの?急に」
「なんとなく?来たくなった」
「なにそれ」
へんなの
なんて思いながら思わず笑みが溢れた
ポツ、ポツ
「あ、雨?」
「うわ、ぽいな。走って帰るか?」
「ふっふー!なんと私は折りたたみ傘を常備しているのです」
「よっ!美花殿さすが!」
「入れてあげるよ」
「さんきゅ」