「悪」が似合わない君と。



夏兄さんはリュードーさんに何か言って帰っていった


「リュードーさんも…ありがとうございました」


「ああ」


「家族っていいですね」


顔が緩む


「いいのか?やっぱり」


リュードーさんの声に少し影があるように聞こえた


「もちろんですよ」


「そうか…いや…俺もさ」





「ずっと母親に会ってないから…」


リュードーさんのお母さん…


今まであんまり聞いてこなかったけど


リュードーさんのこと、私はあんまり知らない


リュードーさんの家族…


「お母さん…ですか」


「ああ…ずっと入院してるんだけど…もう2年くらい顔見てない」


二年も…

お母さん…か


「私が口出しすることじゃないかもしれないけど…会える時に会うべきだと思いますよ

私の両親は…私が小学二年生の時亡くなってしまって…会いたくても会えませんから」


生きてるって本当に素敵なことなんだから


会えるんなら会うべきだ


後悔してからじゃ遅いんだ


後悔してからじゃ…


「トンボ…」


!!


急に暖かい何かに体が包まれた


リュードーさんの胸の中にいる


そう認識するのに少し時間がかかった


「ごめんちょっと…こうさせて」


不思議なくらい暖かかった

リュードーさんの匂い

落ち着く


「…うん。」


思わずリュードーさんの背中に手を回した


長いようで短い時間が過ぎる


「会いに行くよ」


そっと声をこぼした


思わず微笑んだ


「うん」