「悪」が似合わない君と。




「…夏兄さん?」


見慣れた後ろ姿に声をかけた


「ハナちゃん…」


振り向いた夏兄さんは決まり悪そうにしていた


「…ごめんね」 


「え?」


思わぬ返答に素っ頓狂な声が出た


「俺…ちょっと自分を見失っていたって言うか…ハナちゃんたちに言われたこと考えて…
間違ってたことはわかってたけど…どうしても抑えられなくて
ほんと…馬鹿なことしたなって」


「夏兄さん」


「ほんとにごめん!」


夏兄さんはその場で深く頭を下げた


「ハナちゃんに向ける顔なんてないけど…どうしても言っておきたくて…
ごめんなさいと、俺に正しいことを教えてくれてありがとうって」


頭を深く下げたまま、震える声で言った





「夏兄さん…顔上げてよ」


ゆっくりと頭が上がる


「夏兄さんがしたことは許せないけど…
だけど追い詰められてた時…力になれずごめんね。

私のお母さんとお父さんももういないけど
夏兄さんは私の大切な家族だよ」


「ハナちゃん」


「それから、助けてくれてありがとう!」


これはちゃんと言わなきゃね!


「ハナ…ちゃん」


夏兄さんの目が潤んだ


「ほんとに…ほんとにごめん」


弱々しいその姿を見て思わず夏兄さんを抱きしめた


家族ってすごいな