…?


……





え、私なにやって


!!!


バッと離れる


目を限界まで見開いてパチパチとしているリュードーさん


え?いま?


わたし、え?


き、キス…


「トン…ぼ、」


「あ、いや、その…これは…あの」


いやすぐそこで夏兄さんと浜田さんが倒れてるってのに私なにやって


「無自覚かよ」


!!

声のする方を見るとカイさんが面白そうな顔で立っていた


「いや、あのこれはそれ以上先を言われたくなくて、えっと…」


「言われたくないだとよ、彗」


「トンボ…」


あ、あ、えっと


「わ、私は…そんな理由で…リュードーさんの側を離れたくはない…です」


決して今も近いわけではない

でも…それでもこうしてたまに話せるだけで私は幸せだった

だから…


「トンボ…」

「だってよ彗。お前だって健全な男子高校生なんだから自分の立場にとらわれすぎなくていいんじゃないか?」


カイさん…

ふっと力を抜いて笑った


なんかカイさんってお兄ちゃんと似てるな


なんて気を緩めていたら…視界に揺れる人影


っ!!

あれは!


カイさんの後ろ

浜田さんがやっつけたはずの日焼け男か1人、よろよろと立ち上がり

鉄パイプみたいなものを持ってカイさんに近づいていく


…ど、どうしよう

リュードーさんは動けない


だめっ!


私は立ち上がった


きっと私が叫んだらカイさんがすぐに殴られる


「トンボ?」


ほぼ無意識だった


こんなの突っ込んでいったところでどうにかなる保証はない


ただ何故か体が動いた


カイさんを守ろうと足が動いた



「海!!」


リュードーさんが気づいた


その瞬間鉄パイプが上に上がる


「カイさん!!」


鉄パイプが振り降りた瞬間

カイさんに突っ込み2人揃って倒れ込んだ


バタン!

ゴッ!


鈍い音が二つ響いた


そして同時に激しい衝撃が体を走る