「うわあああああああ!!!」


思いっきり夏兄さんに突っ込み私もろとも地面に倒れる


守られてばっかじゃない!


この人は、リュードーさんは!私が守る!



「夏兄さんの馬鹿!なんで分かんないの!?
そんなことして兄さんの両親がなんとかなるっていうの?

馬鹿じゃないの!?そんなことして報われるわけないじゃない!こんなの無意味だよ!

だからやめて!やめるまでずっとこうして離さないから!!殴りたきゃ殴ればいいよ!死んでも離さないからぁっ!」


もうヤケクソでしがみつく


これ以上リュードーさんを殴れないように、蹴らないように

夏兄さんが…傷つかないように!


「…はなちゃん」


「知ってるから私…夏兄さん本当は優しい人だって知ってるから!
さっきも私がこけそうになった時、あの時あげた声はいつもの優しいお兄さんの声だったよ…
お願いまた元に戻ってよ」

「…」


怖い…こうしているのもすごく怖い


でもリュードーさんは戦ったんだ


だから私も…


「トンボ…」





リュードさん!


リュードーさんがよろっと立ち上がり夏兄さんに向かって構えた


「ごめんトンボ、せっかくのところ」


え?


リュードーさんがぐるっと回って夏兄さんに蹴りを入れた

私の体まで振動が来るくらいの力強い蹴り


夏兄さんはアガッと声をあげ、その場で意識を失った


もうリュードーさんとの戦いでだいぶダメージを食らって体限界だったのかな


横たわる夏兄さんを見て少し…寂しくなった


…脳内に蘇る


幼い頃見た両親の遺体


ブルブルっと首を振って頭から追い出した