「悪」が似合わない君と。




「はなちゃん!」


!!

夏兄さん…?


追いかけてくる夏兄さんと私に向かって手を伸ばすリュードーさんがほぼ同時に動く

都合よくスローモーションみたいにゆっくりに見えるその瞬間


リュードーさんより先に夏兄さんが私の服をつかんだ


「トンボ!!」


ぐい!!


「わっ!」


でもリュードーさんが私の肩を思いっきり引き寄せて夏兄さんから引き剥がした


トン


リュードーさんの胸の中に飛び込む


「また…捕まえた」


小さな声で私に言った


あの日リュードーさんが、黒板の前で椅子から落ちた私を捕まえてくれたように

その腕が私の体を支えてくれる


しかし、そのフラッシュバックは目の前の光景にすぐにかき消される

っ!!

「リュードーさん!」


後ろで日焼けの男が拳を振り上げている


「大丈夫だ」


えぇ!?

なんで大丈夫なの!

どう見ても殴られ…


「うおりゃあああっ!!」


!!

浜田さん!?

浜田さんが思いっきり日焼け男に体当たりした

ガクンっと衝撃が走り、日焼けの男は顔から地面に倒れる


「海!!」


えっ

うわあああっ!!


リュードーさんが私をカイさんに向かってぐんっとかなりの勢いでパスした


「はいよっ!とっ」


盛大に頭から突っ込んで行った私を広い胸で受け止めてくれた


「よぉ、よく動じなかったな。さすがだよ」


え?

動じる?

なんのこと?


「本当はもう少し様子を見てから仕掛ける予定だったんだけど…彗が飛び出しちゃって」


てことは…


「低脳ダサモンキー」


カイさんがプハっと笑う

き、聞いてたのか!?


でもおかげでだいぶ気持ちが落ち着いた

震えは消え、しっかり立ってられるようになった