「悪」が似合わない君と。




「あ、ここでいいです」


そう言って止まった


目の前の家はでかくもなく小さくもなくごく普通の家

ただ、あかりは何一つ付いていない真っ暗な家


人のいる気配がない


「…一人暮らし?」


思わず聞くと何を考えているのか全く読めない顔で作ったように笑い


「兄と二人暮らしです」


そう言った


…それ以上は聞かないでおこう


一瞬だけこいつの顔に曇がかかったように見えた




「そうか…じゃあな」


特に話すこともないので少し名残惜しく背中を向けた


「あの!リュードーさん!」





振り向くと曇りの取れたいつもの顔で俺を見ていた


「ありがとうございました!やっぱり優しいんですね!」



へにゃっと力が抜けたように笑った




っ!




トンボのことだ…

特に何も考えず話したって感じかもしれない

でも…俺には

この気持ちを自覚させるのに十分すぎた




「…フ、」



思わず笑ってしまった

あーあ

まじかぁ




こいつにかぁ