「悪」が似合わない君と。



う!!



……あ、あれ?



いたくないぞ?



殴られるのに構えてたのにどこも痛くな…い



なんか…激しくデジャヴなような…



恐る恐る目を開けると



黒い背中が目の前にあった



「け、慧さん!?」


拳を振り下ろしたでかい男の情けない声が聞こえた


どうやら、リュードーさんがパンチを止めてくれたようだ



「女に手なんか出したら汚ねぇだろ。俺の顔に泥を塗るつもりか?」



「い、いえ!そんなつもりじゃ!」


「言い訳は聞かねぇ。浜田、お前のそのキレっぽい性格なんとかしろ、めんどい」


「す、すみません!」



さっきまでの威勢はどこいった?



でかい体のくせにこの浜田とかいうやつ急におどおどしはじめた



「今のは単なる八つ当たりだろ、図星つかれて暴力に走るとか、ガキすぎ。あと、」


急にリュードーさんの顔つきと声色が変わった



あたりの空気が一気に強張る



「こいつの事、トンボって言っていいのは俺だけだ」



は、