「ハヤがすべってもいいですか?」 「がんばれ」 よっぽど滑りに自信があるのか、余裕の笑みが見える。 それに隣にいる紗奈子も、拍手までしている。 確かに叶逢の大会を見に行った時、上位に名前があるのを覚えている。 だけど、滑りはそこまで記憶に残っていない。 どんな滑りなのかな? ってか! 「コーチ。何がしたいんですか」 小さな声でコーチに話しかけると、ニヤッとだけして、ハヤに目を移した。 ハヤの滑りは、確かにいい。 変化のある曲にあっていて、ステップもいいと思う。 だけど……。