友達と遊ぶことに興味がない楓は、小さい頃から不思議と動物に好かれ、直哉以外の遊び相手はもっぱら動物たちだった。

犬や猫はもちろん、神社の裏山に行けば、鳥やリス、ウサギや狸、狐など言葉がわかるわけではないが、楓の姿を見つけた動物たちは、彼女にその背を撫でてほしくて集まってくる。

それが嬉しくて、人と接するよりもいつのまにか彼らと過ごす時間が増え、学校から帰れば陽が暮れるまで裏山にいた。

「楓、今日も山に行くのかい?」

「うん。」

「山に行くなら祠の掃除もしてきてもらえるかい?
婆ちゃん今日はどうにも膝が痛くて山に入るのはしんどいんだよ」

「いいよ、おばあちゃん。」

楓は祖母に笑顔で答えると掃除道具を手にして裏山の祠に向かった。