愛しの Silver Fox 様

「楓…こっちのことは心配するな。
ちゃんと、お前を、お前たちを守るから!」

直哉はそっと楓の分身の手を握り

「俺たちは帰ろう。」

そう話しかけてみると、小さくうなずき柔らかく微笑まれ心臓が高鳴った。

楓の手は暖かく、生身の人間としか思えない。

ただ違うこと…
それは、直哉にむける好意的な眼差しと微笑み。

今まで向けられたことのない彼女の笑顔に、直哉は戸惑い珀に目を向けた。

脳内に彼の声が響く。

『楓の半身は許嫁のぬしを心のそこではちゃんと好いているから安心しろ。
楓の感情、言葉や行動は私が作り上げたものではない。

たがら頼んだとおり、早急に楓と契りを交わし、他の者共を寄せ付けるな。

直哉……頼んだぞ』

珀の腕の中に閉じ込められたままの楓に視線をやると、このまま珀の嫁として連れ去られることに不安げに直哉を見つめている。


「大丈夫だ、楓。
すぐにまたここに戻れるから、安心して珀についていけ。

俺が、楓をずっと守るから安心しろ。
俺は……何があっても一生楓と共に生きていくから」

楓が小さく頷いた。

直也はそのまま、手を握りしめている楓の分身と山をおりた。