珀は妖艶な笑みを浮かべ
「後継者は椿だ。
その言い伝えは少し違っているようだな。
嫁入りして子をもうけ、その子供が神社を守ってゆくのだ。
だから楓ではないのだよ。
それに……
今まで猶予があったはずだが?」
目を細めてじっと直哉を見つめる珀に、直哉が苦々しげに顔をしかめた。
楓が自分を意識していないことは理解していた。
ゆっくり時間がかかっても、許嫁であるのだからいずれ自分を好いてくれればいいと直哉は考えていた。
まだ自分達は十六歳の高校生で、動物たちに囲まれて、穏やかに笑っている楓をただ眺めていることに充分満足していたのだから…。
「後継者は椿だ。
その言い伝えは少し違っているようだな。
嫁入りして子をもうけ、その子供が神社を守ってゆくのだ。
だから楓ではないのだよ。
それに……
今まで猶予があったはずだが?」
目を細めてじっと直哉を見つめる珀に、直哉が苦々しげに顔をしかめた。
楓が自分を意識していないことは理解していた。
ゆっくり時間がかかっても、許嫁であるのだからいずれ自分を好いてくれればいいと直哉は考えていた。
まだ自分達は十六歳の高校生で、動物たちに囲まれて、穏やかに笑っている楓をただ眺めていることに充分満足していたのだから…。

