愛しの Silver Fox 様

『昨日我らは夫婦になる約束を交わした。

椿は多々羅ヶ峰神社の兄上に嫁ぐ。

私はこの祠に封印されし白銀の狐
"珀(はく)"

私の封印されし妖力を、楓が足に刺さる矢を抜き去り、神水で治癒して開放してくれた。

多々羅ヶ峰神社の血縁者でなければ神水は我に効力を表さない。
楓が救ってくれなければ、我が足は矢に塗られた毒により朽ち果て、この身も毒に侵され朽ち果てる運命にあった。』


直哉は狐に鋭い視線を向け
「この祠に封印されていたってことは、あんたは悪い狐なのか?

俺たちに害をなすものなのか?」


珀はふっと笑うと、その体が眩い光に包まれて人型にその姿をかえた。


長い白銀の髪にすらりとした長身の珀は、人ではない者特有の美しさ、金色の瞳をもち、端整で目を奪われるほどの見目麗しい美形に姿をかえて、二人はその美しさに目を奪われた。