愛しの Silver Fox 様

直哉の様子に楓が息を飲む。

「 昨日、お風呂に入った時に気がついて…」

「その痣は、お狐様の嫁の証だろ!  椿さんにあるんじゃないないのか!?」

「お姉ちゃんには生まれたときからあるよ。誰にもまだこのこと言ってなくて…。どうしよう直哉。

私…昨日ここで見たこともない白銀の綺麗な子狐に会って。

怪我をしていたから手当てをしたの。
そのことと関係あるのかな…」

「…だからここに俺を呼び出したのか…」

「うん…。」

ガサガサと昨日のように茂みが葉を揺らした。

そこから姿を現したのは、昨日見た可愛らしい子狐ではなく、白銀の金色の目をしたスラリとした大きな狐だった。