10月5日、午前9時20分。





「……くん、佐原くん! キミ、会社で居眠りしてるのかね?!」


騒がしい怒号に一気に眠気が覚める。


「えっ?! あ、はい! スミマセ、ン……あれ? 此処は、会社……?」


眠気眼を擦り、状況を確認する。



日光が差し込む日当たりの良い社内では、いつも通り社員がパソコンの前に座り業務に勤しんでいた。


あれ、俺、本当に生き返ってる……?


「当たり前だろう! 君はいつまで新入社員のつもりでいるんだね! シャキッとしなさい!」


椅子の横で仁王立ちしてコチラを見下ろし睨んでいるのは、課長の前田 総士。


白髪が入り混り、顔に刻まれたシワがなんとも言えない威厳を放っている、強面の存在。



つまりは俺の上司だ。




「この間も書類に記載ミスがあったぞ、しっかりしてくれよ。まったく、……」



こんな感じで、事あるごとに俺を怒鳴り付けてくる嫌な上司だった。

入社してから、ずっと。


特に最近は急にアタリがキツくなっている。


「すみません、以後気をつけます……」


首を傾げながら、一度は責任も何もかも死へとすべて放り投げた仕事を、淡々とこなしていく。