【 作文用紙 4枚用 】

「これ、読んだら?」

私は母に勧められて、「グスコーブドリの伝記」を手に取った。でも、正直、そんなつまんなそうな話、読みたくなかった。言葉づかいも古臭くて、とても読みづらい。すると母は、三場面まで読み聞かせてくれた。それを聞いて少しおもしろくなった私は、がんばって続きを読んだ。母に、
「どうだった?」
尋ねられた私が、
「うん、めでたしめでたしで終わって良かったよ。」
と答えると、
「残念、それは読み間違えてるよ。」
と言われてしまった。

○そんなはずはないと思ったが、最後のところを母に説明してもらって、ようやく幸せのかげに、ブドリの大きな犠牲が小さく書かれていることに気づいた。

○私は、それをふまえた上で、もう一度、読み返してみた。


○初め、両親と妹の四人家族のブドリは、とても幸せだった。ところが、天候不良のせいで農作物の不作が続き、両親がいなくなったところから、ブドリの不幸で辛い人生が始まった。

○私が、すごいと思ったのは、それでもブドリはまっすぐ一生懸命に生きているところだ。自宅がテグス工場になった時も、子供なのに一生懸命働いていた。私は、母の手伝いもほとんどしない。だから、ブドリはえらいと思った。


○テグス工場がなくなった後、ブドリは、今度は沼ばたけで働いた。沼ばたけの主人に、作物に病気が出たから、今までの分まで寝てろと言われたのに、ブドリは沼ばたけが気になり、寝ないで見に行った。

○私は寝るのが大好きだ。できれば、お昼まで寝ていたい。だけど、仕事のことを考えると寝られないブドリは、とても責任感の強い子なんだと思う。私ももう高学年なので、ブドリを見習って、責任感を持って係や委員会の仕事をしようと思った。


○その沼ばたけも、天候不良ために仕事がなくなり、ブドリはイーハトーブに行った。クーボー博士に会い、働きながら勉強したいと思ったからだ。

○私は働くのも勉強するのも嫌いだ。ブドリは、どうしてそんなに大変なのに勉強したいんだろう。きっと、ブドリは、自分たちのような不幸な子供を作りたくなかったんだと思う。みんなが両親と幸せに暮らせる世の中にしたくて、クーボー博士のところで勉強をしたかったんだと思う。


○その後、妹とも再会し、幸せに暮らしていたのに、再び気候が寒くなり、作物が育たなくなった。このままでは、あの、ブドリの両親がいなくなった年のように不幸で苦労をする人たちが増えることになる。だから、ブドリは火山島を噴火させて、温暖化させることをクーボー博士たちに提案するが、反対される。噴火させると、最後の作業をする一人が逃げられないからだ。それでもブドリは、その最後の一人になってその作業をやり遂げた。おかげで、みんなが幸せに暮らせる。

○私なら、生きて帰れないと分かっているのに、そんな仕事はできない。だけど、ブドリは、とても責任感が強く、みんなの幸せを考える人だった。だから、自分が犠牲になってまで、その最後の作業を行ったんだと思う。


○でも、私は、たくさんの人が幸せになったかもしれないけど、ブドリを大切に思ってくれている人たちは、決して幸せではないと思う。できれば、ブドリには、自分も生きてみんなが幸せになるための他の方法を考えて欲しかった。それがみんなが幸せになるということだと思うからだ。