「仮に、今、王弟殿下が無事釈放されたと
して、あなた様が王女殿下である以上、
叔父と姪です。
永遠に結ばれることはありません。」

ユリアの言うことは、いちいちもっともで、反論の余地もなかった。

けれど、それでも…

「それでも、私は、アルフを救いたい。」

私がそう言うと、ユリアはふっと蔑むような笑みを浮かべた。

「あなた様は、今後、いばらの道を歩むかの
ような人生を送ることになりますよ。
お覚悟はございますか?」

「構わないわ。」

そう、アルフさえ、救えるのなら…

私の人生全てを差し上げても構わない。

ユリアは優しい笑みを浮かべて言った。

「私は、何も伺っておりませんし、
何も申し上げてはおりません。
よろしいですね?」

「もちろんよ。
ユリアに迷惑を掛けるような事は
しないわ。」

私の言葉を聞いて、ひとつ頷いたユリアは言った。

「王女殿下、申し訳ございません。
昼食の食べ合わせが悪かったようで、
お腹の調子が良くありません。
しばらく席を外しますが、静かにこちらで
お待ちくださいませ。」

そう言って微笑んだユリアは、部屋を後にした。

私は、急いで城を抜け出す。

裁判所は、城の北側、徒歩30分くらいの所にある。