はあ、はあ……

私が息を切らして広場に着くと、まず目に入ったのは……

「ハール!!」

草はらに寝そべる大好きな彼の姿。

跳ね起きた彼が駆けてくる。

「フルーナ!」

「ハール!」

会えたら、言いたいことはたくさんあったはずなのに、お互い、名前を呼ぶことしかできない。

駆け寄ったハールに抱きとめられ、ぎゅっと抱きしめられる。

私もハールの広い背中をしっかりと抱きしめる。

会えた!

ただそれだけで、この半月を埋めるだけの幸せを感じる。


「ハール…
私… 」

言わなきゃいけない。

例え、クラウスに叱られたとしても、ハールには本当のことを。

「私、フルーナ王女殿下じゃないの。」