「とりあえず、王女殿下、今後は、一切の
外出を禁じます。」

クラウスが私を見据えて言う。

「そんな…
だって… 」

「だいたい、王弟殿下は、王女殿下を毒殺
しようとした張本人です。
そんな人間と毎日会ってたなんて。」

クラウスは呆れ果てたようにため息を吐く。

「それは!
絶対にハールじゃないわ。
ハールは、私に危害を加えるような事、
一度もしたことないもの。」

それを聞いて、クラウスは眉間に皺を寄せた。

「王弟殿下でなければ、一体、誰が王女
殿下に毒を盛ったと言うんです?
王宮に出入りできる人間は限られているん
ですよ?」

そう… だけど…

「でも… 」

「そもそも、何で、王弟殿下は、今夜、
王子たちの邪魔をしに来たんです?
はたから見てると、まるで恋人のよう
でしたよ?
いくら歳が近くても、叔父と姪。
そんな関係になれるはずもないのに。
あらぬ噂が立って、各国の王子たちが、
フルーナ王女との縁談を敬遠したら、
どうするつもりですか。」