「俺は、国王の腹違いの弟だよ。
だけど、王位とか権力とか名誉とか、
そんなのは全然興味ないんだ。
だから、そういう政争に巻き込まれたく
なくて、ずっとこういう公式行事には
出て来なかった。
でも、今日、聞いたんだ。
君の婚約者を決めるって。
今日、出席の王子たちを見て、先方の国へ
正式に打診するらしいって。
だから、俺は、それをどうしても
止めたかった。
だから…
初めて、舞踏会なんてものに来たんだ。」

ハール…

「フルーナ、君は… 」

そこで、曲が終わった。


「王女殿下、こちらへ!」

話はまだ途中なのに、クラウスに強く言われると従わざるを得ない。

私は後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にした。