けれど、レオポルト王子は私の手を握って引き止めた。

「フロレンティーナ王女、また、会って
くださいますね?」

「あの…
ごめんなさい…
私の一存では…
シュテファン王国の未来にも関わる事
ですから。」

私はそう言って逃げるけれど、レオポルト王子は逃してはくれない。

「それは分かります。
私も一国の王子ですから。
それでも!
私はあなたとまた会いたい。
あなたは、私にまた会いたいと望んで
くれますか?」

クラウスに助けを求めようと視線を彷徨わせると、こちらに向かってくるクラウスと目が合った。

と、その時、

「私と踊っていただけますか?」

背後から声を掛けられた。

聞き覚えのある優しく温かな声。

「ハール… 」

私は、レオポルト王子に軽く首を傾げる様に会釈をして、ハールの手を取った。


踊り始めてしばらくしてから、私は口を開く。

「ハール、どうして… 」

聞きたいことはたくさんある。

たくさんありすぎて、何から聞いていいのか分からない。

「クラウスから聞いたんだね?」

ハールに言われて、私は黙って頷いた。