「よくない噂?」

「王女殿下からご覧になって、王弟殿下は
叔父君に当たられるんですよ。
歳が近いからといって、あのように叔父と
姪が親密な様子でいれば、禁断の愛などと
下世話な噂が出ないとも限りません。」

あ…

「この後の時間は、各国の王子と順番に
踊っていただきます。
よろしいですね?」

「………はい。」

私は項垂れてクラウスに連れられて大広間へと戻った。

大広間では、ハールが大勢の女性に囲まれていた。


そうよね。
見目麗しく、地位もあり、ダンスも上手い。
誰もがお近づきになりたいと思っても不思議じゃない。

だけど…


私は、自分の中の感情を持て余していた。

私は、今から、ハール以外の男性と踊る。

次々と相手を替えて、この国のために媚びを売る。


なのに、ハールには、他の女性と踊って欲しくない。

それって、私のわがままなの?