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新年の舞踏会

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そうして、年が明け、新年の晩餐会と舞踏会に、体調が戻った王女殿下は久しぶりにご自身でご出席された。

私は、プラチナブロンドのままで臨時の宮廷楽師としてバイオリンを弾いた。

バイオリンを弾きながら、王女殿下を見守る。

さすがにダンスを踊り続ける体力はまだないようで、休み休み踊っていらっしゃった。

これでもう、私は必要ないわね。

そんなことを思いながら、バイオリンを弾く。

そこへアルフがやってきた。

アルフを見てざわめく淑女たちを横目に、アルフは真っ直ぐに楽団に向かって歩いてくる。

アルフ!?

私は気が気じゃない。

どうしたの?

演奏中の楽団の前でアルフが立ち止まると、遠巻きについてきていた女性たちがアルフを取り囲んだ。

「王弟殿下、踊っていただけませんか?」

「いえ、私と… 」

そんな声が目の前から聞こえてくる。

アルフが他の女性に誘われてるのを見ると、気が散ってしょうがない。

私は、極力、アルフを見ないように、指揮者と譜面に意識を集中した。