「それでもやっぱり、王女に生まれた
ばかりに好きな人と結婚できないのは、
お気の毒な気がして… 」

私が言うと、アルフは私の額に優しくキスをした。

「クリスのそういう人を思いやれるところ、
好きだよ。」

「え… あの… 」

そんな風に褒められて、私はなんて答えればいいのか分からなくて、俯いてしまった。

「くくっ
クリス、かわいい。」

アルフは私のプラチナブロンドを優しく撫でてくれる。

「フルーナが動けるようになって、
ミュラー男爵が子爵になったら、君の母上の
ところへ挨拶に行こう。」

「………はい。」

私たちは、空が黄昏るまで、会えなかった時間を埋めるようにいろんな話をして過ごした。