「ふふっ
アルフ、ごめんなさい。
ちょっといじわるし過ぎたかしら。
アルフは王位継承権を放棄する必要は
ないのよ。」

そこまで言って、王女殿下は苦しそうに大きく息を吸った。

「ごめんなさい。
少し横にならせて。
クラウス。」

クラウスは呼ばれる前にもう王女殿下のそばに控えていて、即座に王女殿下を抱き上げてベッドへと運んだ。

「王女殿下、今日はここまでにして、
また日を改めては… ?」

クラウスはそう進言するけれど…

「いえ、あと少しだけ。
このままじゃ、アルフがかわいそうだわ。」

クラウスは、諦めたように私たちの後ろに下がった。

「アルフ、クリスが私の身代わりを
引き受ける条件をご存知?」

アルフは振り返って私の顔を見る。

「クリスの母親を王立病院に入院させること
だろ?」

「それもあるわ。
でも、もう一つあるの。」

アルフは、王女殿下と私を交互に見る。

「ミュラー家を子爵にして、領地を
増やすこと。」