素直になるまで、少し待って

教室に戻ると、葉山君が堂々と付き合い始めたことを言ってしまい、いろんな人から祝福されて恥ずかしかったけど、やっぱり嬉しかった。


「おめでとう、美桜」
「柚希。ありがとう」


柚希と話していたら、急に祝福ムードが消えた。
注目の的になっているのは、葉山君とグルになって私を騙した霧崎さんだ。


霧崎さんは私を見つけると、私のほうに歩いてきた。


「先輩に頼まれたとはいえ、騙すようなことをしてごめんなさい」


あのときのような、妖艶な微笑みはなかった。
むしろ、幼さを感じる。


「……先輩?」
「はい。凌空先輩は中学の部活の先輩なんです。好きな人がいるから、ちょっと協力してほしいって言われちゃって」


年下であることに驚いた。
それから、思った以上にいい子のようだ。


「誰にも本気にならなかった先輩が、無様に必死になっているのが珍しくて、つい……」
「霧崎!」


霧崎さんの話が聞こえたのか、葉山君は慌てて止めに来た。
正直、もう遅い。


「霧崎ちゃん。その辺詳しく」


柚希が葉山君を止めながら、霧崎さんに話の続きを聞く。
私は苦笑しながら、霧崎さんの話に耳を傾けていた。