私は、気が長い方ではない。



むしろこっちの人格の時は相当短い。



一定のリズムで窓枠を指で叩く。



癖で、
わたしが相当待たされている、
そう思っている時に出る。



ピリリリリー



電話の着信音に
前部座席に座っている部下がこちらを見る。



「繋げて」



ピッ



「遅い」



『申し訳ございません。東華様』



思っていた人物の声と違う声が聞こえ
微かにまゆが動く。



「正信は?」



『正信でしたら今処理をしています。』



あぁ、死体のか。



「そうか。
結果は?」



『赤瀬の一員でした。
赤瀬の幹部についてまわる程の実力者で
ペラペラとよく喋って頂きました。』



「それは良かった」



『赤瀬は確実に大立と繋がっています。


そして三日後に、
中心街の老舗旅館の草紙絵で密会予定です。』



「三日後」



『はい、会長主催の立食会2日前です。』



お爺様主催の食事会の前の密会。



確実に何かあるわね。



「その店に手を回して、
横の部屋を確実に取りなさい」



『かしこまりました』