今から1000年くらい昔
私は生まれた。

「アリス、バイオリンも上手になったわね」
と、お母様が褒めてくれる。

私の家柄はよく、小さな頃から
皇太子妃になるつもりで
教育され、厳しく躾けられた。


3時を回りアフタヌーンティーの準備をしていると、幼馴染のマリアがちょうど遊びにきた。

「こんにちは。おばさま。アリス」

「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」
と、お母様は気を利かせ部屋から出て行ってしまった。


「マリア、どうぞ。ちょうどいま
休憩していたの。私が焼いたケーキなの。
美味しいわよ」

「美味しそう。じゃあいただくわ。
きっともうアリスが作るケーキ食べれないものね」

「そんな事言わないで、まだわからないじゃない」

「明日のお妃候補選ばれるのは、アリスに間違いないわ。綺麗だし、誰もあなたにかなわない」

「でも綺麗な子ならたくさんいるわ。
マリアだって有力な候補者じゃない」

「そんな事ないわ。うちは家柄がまだまだ
だもの。それに私、宮殿には興味ないし。
窮屈そうだわ、あの場所は」

「それもそうね。私も出来るなら普通の結婚がしたいもの」

他愛もない話を二人でしていたが、多分
心の中は嘘で溢れている。

小さな頃から王妃になれとプレッシャーを
かけられ、王妃になりたくないわけがない。


でも、たとえどちらかが
選ばれたとしても
笑って「おめでとう」と
言える仲だと信じてる。


そして、当日
皇太子妃になったのは
アリス・ルクシピア

私だった。