やろうと思えば、100km離れた本のページをめくる音だって聞くのも容易いこと

私の前で内緒話は厳禁だ

話し終わったようで、奥の方にいた2人が戻ってきた

私の向かいの椅子にそれぞれ座る

「えっと・・・・・・とりあえず、今から話すことは、勝手なことだけど他言無用でお願いしたい」

「はあ・・・・・・」

この情報を他人に容易く教えていいものなのか

相手が私だからいいけど

「芽衣ちゃんが見た"変なの"はね、化物っていうの」

「けもの、ですか」

「そう。化物はね、人間に取り憑いて心を操り、他人に害を成す怪物みたいなものなの」

私が何も知らないと思って、丁寧に説明する琴葉先輩

普通の人が聞いたら、完全に厨二病の集まりにしか見えない

もしくはオタクか

魔法を信じすぎて幻影見えちゃった感じの人とか

「それで、その化物を事前に倒すのが、私達魔術師なの」

「魔術師・・・・・・って、ほんとにいたんですね」

「そー。いるんだよ」

知ってる

私が魔術に関わり始めたのは3歳の頃だし

「意外と反応が薄・・・・・・で、小鳥遊さんにはその資質がある」

「資質?」

「魔術師としての・・・・・・魔法使いとしての資質。今、魔術師や魔法使いは急激に減っているの。だから人手不足で・・・・・・」

なるほど

魔法協会の内情は知らないけど、あまり状況は芳しくないらしい

それで私に勧誘をかけた、と

「あ、もちろん私たちが知ってるよりも人はいると思うんだけど・・・・・・あまり、多くなくて」

「確か魔法協会に所属してない魔術師もいたよな」

「コードネーム:アリアとかね」

アリア・・・・・・知らない

私のコードネームはメイリン

私は苺が好きで、そして母の名前が小鳥遊鈴だった

苺と鈴

これでメイリン