私がみんなに代わって先生に仕置でもしておこうか

暇だし

私は夢想魔術を使い、先生に悪夢を見せることにする

幸せそうに眠る先生の顔が、徐々にひきつっていく

そしてチャイムと同時に

「おわぁっ!」

起床

「え・・・・・・あ、夢かぁ?」

教室中からため息と笑い声が漏れる

見せた夢は・・・・・・黒い人からひたすら追いかけられる夢

しかも手には切れ味抜群そうな刀持ち

ついでにチェーンソーも持ってる

もはやホラー

「あぁ・・・・・・怖かった・・・・・・悪夢だ」

ぶつぶつと譫言のように呟き、先生は立ち上がってテストを回収し出す

一番後ろの人が1枚ずつテストを回収し、まとめて先生に提出するスタイル

全部回収し終わり、さてホームルーム・・・・・・という時

ぶわっと、強い魔力を感じる

全ての行動を止め、神経を研ぎ澄ます

この魔力・・・・・・魔術師の類のものではない

断言する、化物だ

私がここで行動を起こすことは出来ない・・・・・・生徒会に任せよう

「それじゃー、朝のホームルームを始め───」

先生がいいかけた時

ガラッと、教室の扉が開いた

後ろの扉・・・・・・大郷くんだろうか

全員がぱっと後ろを振り返った時

そこに居たのは、確かに大郷くんだった

でも大郷くんではない

大郷くんであって、彼ではない

禍々しい何かを醸す存在

間違いない・・・・・・化物に取り憑かれている

「おお!大郷、来たのか。今日は休みだって聞いてたが、体調が回復したのか?」

「てかお前テスト終わったぞー狙ってたんじゃないのかー?」

明るい空気だが、反して大郷くんは下を向いたまま、何も言わない

今対処できるのは、私しかいない

私はいつでも動けるように、椅子から腰を浮かせる

直後、彼は動いた

彼がその手に持っていたのは、バッグではなく───サバイバルナイフ