オリオンと手を繋いで、深く、深く……どこまでも海を潜っていく。
陸上ではきっと、「アルテミスがオリオンを射殺して、彼は海の藻屑になった」……そう、神話通りに話が進んで、アポロンもそれに納得するだろう。だって、私達はこれからこの世界ではない、異世界へ行くんだから。

海をひたすらに潜って潜って……私達は見つけた。まるで渦巻きのような、黒い大きな穴。
これが異世界へと通じる穴……そのことは、一目見て、感覚的に理解した。

恐ろしさはあった。だって、その穴は強大で、どこへ繋がっているのか、全く想像もつかなくて。

でも……彼、オリオンと一緒なら、何処ででも。私は幸せに暮らしていける。そう、いつまでも……

そんな想いと共に、私達は思い切って、吸い込まれるようにその穴の中へ入って行った。